ちろうのレイブル日記

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同人誌「アイドル〈ヲタ〉になる方法」まえがき公開

さて、2014年8月14日のコミケC86にてお披露目します、チロウショウジの新刊「アイドル〈ヲタ〉になる方法」のまえがきを公開したいと思います。自分でもあまり何書いたか覚えていませんが、、、

まえがき


2013年10月14日放送の「笑っていいとも!」でのこと。月曜日レギュラーの指原莉乃さんは「小学生100人に向かって3分間の授業をする」というコーナーで、「AKBになる方法」という授業を行っていました。

結論から言うと、これがとんでもなく素晴らしいものでした。
3分間という短い時間でどれほどのことが出来るのか、またAKBグループのメンバーとして出演している自分に求められている役割は何か、そんなことを考えた上での内容であり、生放送というプレッシャーの中でほぼ完璧な内容だったと言って良いと思います。

そこで僕は考えました。「これは埋もれさせてはならない!」と。

立場上「AKBになる方法」というタイトルでしたが、これは「アイドルになる方法」と言っても差支えのない内容だったと思います。これは早急に、かつ、より充実した形で世に送り出していかなければならない。これが本書を書き始めるきっかけとなりました。

僕はさっしーこと指原莉乃さんのファンです。学者でも評論家でもありません。ただ指原莉乃さんを熱心に推してきただけのファンに過ぎません。現場のヲタとしては、推している対象(アイドルなど)に人気が出てきてファンが増えることを好ましく思わないことも多いと思います。僕自身、彼女がAKB48としてデビューしたての2008年〜2009年に比べて、現在では劇場公演で見る機会も減り、握手券もたくさん取ることができなくなって、しまったことを実感しています。彼女が人気者になるにつれてはっきりと距離が遠くなってしまっていると言えます。しかし僕は彼女の存在を知ってからの約5年間、ずっと彼女の魅力というものを考えてきました。

きっかけはやはり、これといった分かりやすい特徴を持っていない、ただ明るくて、身体が細くて、スタイルが良くて、ベラベラと早口でしゃべり、ちょっと可愛い(たまにブサイクな?)だけの彼女にどうしても惹かれてしまったからです。放っておけない感じがしたのです。だからなぜそうなのだろう?と考えながら、彼女が活躍の場を広げているのを眺めていました。指原さんのことを知ったのは2008年のことですが、本格的に彼女の魅力について考えるようになったのは、指原さんがシングル選抜総選挙で9位になった2011年のことです。

それは指原さんの「人間性」の中にそのヒントが隠されているのではないかと思いました。すると考えれば考えるほどに、指原莉乃さんのあり方はAKB48のメンバーとして、さらにアイドルとして、広く芸能界で活躍するタレントとして、とても優れているのではないかという気がしてなりませんでした。「会いに行けるアイドルの時代」と言われている現代に生きる全てのアイドルは指原莉乃さんを見習うべきじゃないかと考え始めました。そして、それはアイドルをやっている人だけには留まりません。あらゆる人気商売の仕事に就いている人をはじめ、この現代社会に生きる僕たち、つまりは一般人にとっても大いに参考にできるのではないかという気がしていました。

さしこ力、という言葉があります。これはAKB48のプロデューサーでもある秋元康さんが生み出した造語で、その定義は「期待させないところから、意外と良いんじゃない?と思わせる力」となっています。まさに指原莉乃さんのあり方をそのまま体現している言葉です。初めからものすごい才能や、恵まれた環境がある人はそれでいいと思います。しかし世の中、そうでない人が大半ではないでしょうか?不景気だと言われる中で、自信を持ちにくかったり、やりたいことが見つからなかったり、就職が厳しかったり、将来に対する不安は募るばかり。そんな中、特別な何かを持っていなくても、前向きな気持ちと真摯さとひたむきさがあれば輝くことができる、そんな方法を指原莉乃の生き方を見て、秋元康さんが「さしこ力」と名付けました。自信を持てないと弱気になっていた指原さんに対して、秋元康さんは「指原は卑屈で良い。弱者は弱者の味方をしてくれるから」と励ましたそうです。

今ではこの言葉も正しい定義を失ってしまっているかもしれません。というのも、今や指原さんは誰がどう見ても弱者ではないからです。期待させないどころか、グループ一番の期待をかけられている存在です。卑屈で弱者だった2008年を出発点として、少しずつ力をつけて圧倒的強者になるまでのストーリーが2013年までの5年間ではないでしょうか。しかしそういう時代があったのは紛れもない事実です。そこから抽出される方法論が、まさに指原さんが「笑っていいとも」のコーナーで披露した3分間の授業です。

ご存知のとおり指原莉乃さんはAKB48のシングル選抜総選挙で回を重ねるごとに順位を上げていき、ついに2013年、第5回の選抜総選挙で1位を獲得するに至りました。それで僕は確信しました。今の世の中に必要とされているものこそ、「さしこ力」だと!これだけ大きな文化運動となってしまったAKB48には、日本社会が反映してしまっていると思います。であるならば、そのAKB48のシングル選抜総選挙指原莉乃さんが1位という結果が現れたのは、今日本社会で求められているものが「さしこ力」であると証明していると言えるのではないでしょうか。

僕はこれまで、指原莉乃さんのすごさ、魅力が世間に認められていくことを、希望的観測も含めて予想していました。そしてそれは選抜総選挙で1位というこれ以上ない結果によって示されたと思うのですが、想定外だったことがなかったわけではありません。それは、彼女がAKBグループで確固たる地位を占めてからというもの、具体的にはHKT48劇場支配人を任されるようになったころから発揮し始めた驚くべきプロデュース能力や、テレビタレントとしてのバラエティ番組等での適応力が、AKBグループの枠を超えていたことです。それは二十歳前後のあらゆる女性タレントと比較しても群を抜いていたことです。前年1位として迎え、連覇を狙って行われた2014年選抜総選挙でも、結果的には渡辺麻友さんに首位を明け渡しましたが、速報発表から堂々の1位でほとんど主役の座を欲しいままにしました。今後数年間にわたって、上位争いをするのは間違いないように思います。これまで「何の才能もない」とか「特に目立った魅力のない」とさんざん強調してきたわけですが、ひょっとしたら指原さんは元々とんでもない才能の持ち主で、誰にも真似できるわけではないのかもしれません。


もちろんそういう側面はあるかもしれません。しかし彼女とて、初めからそんなプロデュース能力や芸能界での立ち振る舞い方を身につけていたわけではありません。日々のたゆまぬ努力と試行錯誤の中で少しずつ積み上げていったものだと思います。そして彼女自身、ananでの吉田豪さんのインタビューの中で「誰でも指原みたいになれると思います」と答えています(吉田豪さんには「なれませんよ!」と突っ込まれていますが)。

本書のテーマ「さしこ力」は先程も挙げたように、まずアイドルとして活動している方にとってものすごく参考になると思います。さらにはアイドルに限らず芸能人、人気商売、もっといえば人前に立つ仕事をしている人にとって有効です。しかもそれだけではありません。現代社会で、あらゆる人間関係のなかで生きていかなければならない全ての人にとって参考にできるものなのです。つまり僕を含めた全ての一般人にも欠かすことのできない概念なのです。「さしこ力」は驚くべき射程距離を持っているのです


今回は全72pでお送りいたします。前回に比べてページ数は減っていますが、読みやすさは向上しているのではないかと思います。また、特別寄稿として経済学者の田中秀臣さん、特別インタビューに岩崎夏海さんにご協力いただいています。絶対にここでしか読めない、かなり切りこんだ内容になっていると思うので、是非手に取ってください!!

今回はコミケ価格を600円としたいと思います。そして同時刊行の「ちろうのAKB体験記」ですが、数量限定で制作したのと、試験的な書籍化と言うことで強気の1000円を考えています。同時に去年と同様、コミケに行かないという方に向けて申し込みフォームを作成し、そこから取り寄せていただく予定ですが、そちらの準備が整いましたらまた目次紹介と併せて告知したいと思います。