ちろうのレイブル日記

本当によい教育を考えるためのブログです

田中秀臣先生のイベントと、姫乃たまさんの「潜行」を読んで

昨日のトークイベントでは、終始なごやかな進行で楽しく過ごすことができました。僕としては真横に中森明夫さんが座っていてずっと緊張したわけですが、途中で姫乃たまさんが登壇する神展開もあり、ヲタクとしてもいろいろ勉強することがあり、貴重な経験ができました。会心のしゃべりができたという実感はなく、反省するばかりなのですが、これからも精進していきたいと思います。こういうトークイベントでは、聞いているばかりでもいけないので、ある程度相手が話すのをさえぎったり、自分が喋り出すタイミングを計ったりする勢いも必要だったりして難しいですね。そのためには経験と自信が必要なのだと思いました、自分にはそれがほとんどないということを痛感しました。また機会があれば頑張りたいですね。

話題としてはPIP、そしてそこにいない濱野さんの話題が多かったように思います。あとはまさかの本人登場の姫乃たまさんの「潜行」、「僕とジョルジュ」の批評。僕は後半、なんで仮面女子が今地下アイドルの中でもっとも推せるのかをしゃべったのですが、上手く伝わったのかどうか。。。というかそれはほとんど同人誌に書いたし、またブログにも書いていきたいと思います。

田中秀臣さん、中森明夫さん、空井美友さん、ありがとうございました!

イベントの動画(一部)
http://www.ustream.tv/recorded/75491620


中森明夫さんに新著「寂しさの力」をいただきました!しかもサイン入り!!せっかくの機会なので「AKB48白熱論争」を持ちこんでサインもらおうかくらいに考えていたので、これは嬉しかった!
不勉強で申し訳なかったのですが、こういうタイプの本を書かれていたのは意外でした。骨太な評論が多いイメージだったので、、、少し読んだのですがぐいぐい引き込まれます。これは近いうちにまた感想をブログにアップしたいと思います。

姫乃たまさんには同じくベルベットサンでの物販以来でした。とはいってもゆっくりお話しする時間はなく、舞台上から少し会話を交わしただけでした。。。これじゃあ完全にアイドルとヲタの関係です(泣)。僕も「潜行」を購入して読んできたので(しかも秋葉原書泉ブックマートでサイン入りを購入!)、せっかくなのでその感想なども伝えたかったのですが。ということで、ここで感想などを。



■「潜行」

この本には「地下アイドルの人に言えない生活」という副題が冠されています。「地下アイドルとは仮面女子のことである」と言いたい最近の僕ですが、姫乃たまさんもまた「彼女こそ地下アイドル」と言えるだけの、バイタリティや存在感があります。何しろ活動の幅が本当に広い。芸能事務所に属さず、スタッフもおらず、スケジュールの管理や物販やイベントのブッキングに至るまで、全て自分でやるというスタイルで、むしろ姫乃さんの方がその言葉の本来の意味に近いのかもしれません。しかし、自分の生誕イベントでは数百人を集客し、連載を何本も抱えるライターの顔を持ち、ゲストボーカルでアルバムを出し、本を出版してしまうというのは、もはや地下とは言えないのではないかという矛盾がそこにはあります。するとここでもまた、「地下アイドル」とは一体何なのだという問いに立ち返ることになります。

やはり「地下アイドル」という言葉の本来の意味は、光の当たらない、多くの人には見向きもされない、売れてない人だと思います。その意味では、姫乃たまさんは今現在、十分売れている。そんな彼女ももちろん、はじめは文字通りの地下アイドルだった。そして溢れる才能と絶え間ない努力でここまで上り詰めてきた軌跡を、体験記として、また地下アイドルから見える風景を俯瞰して記したというところに大きな意味があり、アイドル史的にも重要な作品であると思います。

そもそも芸能事務所に入らないというのは普通の選択肢ではないでしょう。「入れなかった」のか「入らなかった」のかは良く分かりませんが、必ずしも事務所に所属しなくても、こんな活動の仕方があるのだというロールモデルを提示しています。

若い女の子が悪徳芸能事務所や悪い大人に騙されるというのは良く聞く話です。そしてそんな風に大人たちに翻弄されながら深い闇に落ちていく(元)地下アイドル達の話も綴られます。これは実際に身近にいた人間だからこそ書ける貴重な経験で、リアリティがあります。啓蒙の効果がある。とはいえ、世の中には悪い人間がたくさんいて、騙されてはいけないということは、少し賢かったり物事を知っていれば分かるよなあと思います。できればそんな経験はしたくない。やはりどんな世界でも知性が大切だというのは間違いありません。姫乃さんがそういう良くない方向に進まなかったのは、そしてここまでたどり着けたのは、ひとえに彼女が聡明だったからだろうなあと思うわけです。文章を書くということが得意だったこともそうですしね。

ただし、一人でやるというのは自分の裁量で自由にできる分、責任や意志の強さが試されますね。それこそもし僕が、たった一人で売れることを目指す地下アイドルだったとしたら、「破れたパンストを三万円で売ってくれ」と言われたら断れるかどうか、、、ちょっと自信がない。それに地下アイドルをやると言ったって何から始めればいいのか分からない。だから自分に合ったスタイルと言うのはあると思います。集団でやるのが得意か、個人プレイで力を発揮するのか、みたいなね。

アイドルとしてステージに立ち始めて、最初のランキング形式のライブで優勝する、という話を読んで「最初から売れてるやんけ!」と思った。はっきり言って、ソロの地下アイドルと言うとたまに地下ライブで見かける目も当てられないようなカラオケを聞かされるものとかを想像していたので。地下アイドルって不思議なもので、歌やダンスが上手ければ良いというものではなくて、逆に下手であれば何でも良いというわけでもない。「良い」とか「悪い」とかって結局もって生まれた魅力があるのかないのかというだけなのかもしれないなあ。ただその「なんだかよく分からない魅力」をたくさん持っている方だったんだろうなということを考えた。そしてそんな魅力にあふれているのが本書「潜行」だ。

地下アイドル事情のレポート、自伝的なパート、インタビュー・対談パート、アイドルについての考察パート、というふうに、彼女の活動の幅の広さを物語るような本になっています。地下アイドルについて考えるなら、ぜひ手に取りたい一冊です。

潜行~地下アイドルの人に言えない生活

潜行~地下アイドルの人に言えない生活