ちろうのレイブル日記

本当によい教育を考えるためのブログです

トークイベント「アイドルと就職、そして日本の雇用」のレポ

荻窪ベルベットサンにて、田中秀臣先生主宰のトークイベント「アイドルと就職、そして日本の雇用」に行ってきた。出演者は若き老害こと常見陽平、アイドル兼ライターの西田藍氏、元あヴぁんだんどの東雲好氏、田中先生だ。

最初はゆるーい感じで始まったトークだったが、大学の仕事で遅れてやってきた常見氏が(たとえ遅れてもカボチャのコスプレを仕込んでいるところが常見先生らしいのだが、笑)到着すると話の展開の確認もそこそこに喋る喋るwwww

田中先生にしろ常見氏にしろ、現役の大学教授ということもあって、(関東私大の、ある種の)大学生の現状とかが聞けて面白かった。教育に対する問題意識を日々悶々と考えていてかつアイドルも好きな僕にとってはうってつけのトークテーマである。奨学金に関する問題とか、Fラン大学とどう向き合うか問題とかもいろいろ僕の中でも考えたい課題ではあるのだが、今回は長くなるのでやめておく。ただ、田中先生が言う「高校くらいまでは学費をタダにしろ」という提言は良いと思った。日本の経済規模を考えたら大したことない金額なのだという。全くもって日本は無駄なことに金をかけている暇があったら、教育にお金をかけるべきだと思う。オリンピックの時とかもそうだけど、人は金額のケタにビックリしてしまう。何千億とか何兆とか、大した金額じゃないでしょっていう感覚は必要だよね。クソの役にも立たない無駄使いに比べればね。だって日本人は一億人以上いるんだから。

そんなことよりも今回は「アイドルと就職」ですよ。この地下アイドル隆盛の時代に、セカンドキャリアはいかにして形成できるのか。アイドル活動は就職に活かせるのか。まあ究極的は「個々人による」「がんばる」で終わりなのだけど。そこで元あヴぁんだんどで、大学4年で絶賛就職活動中だという東雲好(しののめこのみ)さんである。

ちなみに「あヴぁんだんど」とは、周知の通り「PIP」のオーディションに落ちた人の集まり、という触れ込みで、PIPは今は実質解散しまったのに対して、あヴぁの方は地下アイドル界ではそれなりの知名度と人気があるという印象です。僕はPIP会議室時代(分かる人には分かる表現)に、ゲスト的に出たときに一度見たきりだ。だから記憶はほとんどない(笑)。そのあヴぁんだんどを、東雲さんは今年の4月に脱退している。そこから始めたという就職活動の話などは、とても興味深いものだった。

アイドルを経験して得たものは何か、良かったのか、就活に生かされているか。どんな問いかけだったかははっきりとは思い出せないが、そんな問いに対して「あるといえばある」というようなテンションだったように思う。集団面接の時に、学生時代にアイドルをやっていました、というと「おっ」という反応を引き出せる、といったような。

まあこれは語り方の問題で、当然あると思う。「アイドル活動」なんていう特異な、精神を鍛えられる活動を年単位でやれば、間違いなく人間として成長すると僕は思う。言語化できること・できないことを含めてね。もっと言えば人生に無駄なことなんかないというかね。まあなんでもやればいいんだ。悪徳事務所に騙されるということがない限りはね(ただし費用対効果のグラデーションはあるだろう。かけた金と時間に対しては学びが少なかったとか、多かったとか)。だから、よくありがちな「今時アイドルなんか名乗れば誰でもなれるし、売れなければ意味がない」とかは思わない。就活の現場では意識高いボランティアとかサークルの副代表とか留学とかを自慢している連中の方がよほどありふれているので、蹴散らしていいレベルだと思う。

それはそれとして、あヴぁんだんどは十分に地下アイドルの中では人気も知名度もあると言っていいと思うのだけど、それでも実人生との天秤をかけた結果の脱退だったのだと思う。その理由の一つに、毎日の活動に追われて何かをインプットをする時間もないというのがあった。そのような状況の中で、大学の卒業の時期が迫ってきていたら、何かしらの決断が迫られるのは当然だろう。そしてそうやってアイドルを引退していく人は、やっぱりたくさんいる。

これはとてもよくわかる話だ。特にアリスプロジェクトを見ているとそう思う。完全な休みとなると月に1〜2日くらいしかないように見える。しかしながら、それでもやるヤツはやるし、うまく行く奴はうまくいくんだよね。当たり前だけど。それが芸能の世界であり、クリエイターの世界もそうだし、夢追い人全般ではないでしょうか。うまくいかないながらも、そしてこれといったビジョンもなくその世界にしがみついていると、常見氏も紹介してた青木真也氏が言うところの「ゾンビ」になってしまうのだろう。

表現者である以上、継続的なインプットは絶対に必要だろう。インプットってなんやねんってゆう話はあるんですけど。一言で言うと勉強ですよね。そしてそれはどんな形にせよ工夫次第で絶対にできます。本だろうが映画だろうが絶対に見れるし、スマホ一つあれば何だってできます(wifiはあった方が良いかもしれない)。もちろんインプットって、本や漫画とかテレビとか映画とかそんな単純な話だけではありません。それは環境がもらたすものもあるでしょう。

これは極端な例ですが例えばHKT48指原莉乃さんのスケジュールは、地下アイドルが多忙だと言っている比ではないでしょう。休みはほぼないに等しいと思う。そして本人は本も映画も一切見ないということを公言しています。つまりその方面の教養は皆無。しかしそんなものは全くお構いなしに、毎日の仕事が日本の芸能界の最先端のインプットに溢れている。まあつまりそういう学びが得られる仕事に携われるかどうかってことですよね。これを端的に言うと「売れる」っていうことなんですけど。その境界線のようなものを意識し、そこを乗り越える努力をするってことでしかないと思う。あるいはどの方向に自分が超えられそうな臨界点があるのかを見極める。これが「ビジョンが必要」ってことではないでしょうか。

そんなことを考えながら見ていました。僕もビジョンを持たなければなと思いました。