ちろうのレイブル日記

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【アイドル評論相互書評企画】「アイドル感染拡大」書評みたいなもの

この度、ももクロ論壇第3弾であるところの「アイドル感染拡大」責任編集のさかもと氏から相互書評のお誘いを頂いた。第1弾「世界が感情を取り戻す」も文フリ会場で購入し(第2弾は未入手)、本誌「アイドル感染拡大」もすでにネットを通じて購入済み、という程度にフォロワーだったこともあり、まさかそのように声をかけてもらえるとは思わず、恐縮です。というかそもそもチロウショウジのことが認識されていたとは!?これからも仲良くしてください。

早速チロウショウジの「アイドル〈ヲタ〉になる方法」を書評していただきました。ありがとうございます。ということでこちらからの書評がずいぶん遅れてしまいましたがようやっと書きあがったということで本エントリのUPとなりました(遅くなってすみません)。

こちらのももクロ論壇、第1弾からそうなのですが、とにかく文字が多く、骨太であるという印象です。まずその時点で対象(ももクロ)に対する愛情が深いということが伝わります!(ただし、全部読みきるのに相当な精神力を要するという弊害が、泣)


こちらの本、まず装丁が美しい。表紙にはアイドルの2&(ダブルアンド)さんのグラビアを起用し、商業誌に混じっても遜色ない華のある装丁で恐れ入りました。こういうの憧れるわあ〜(泣)。イラストはイラストで味があって良いのですけどね!

既刊ではほぼももクロに特化していたと認識していた「ももクロ論壇」でしたが、本誌は様々な女性アイドルを評論することによっていろんな角度からももクロの考察をするというコンセプトになっています。ですからそれだけ間口が広くなって、ももクロファンだけでなく他グループのアイドルファンでも楽しめると思います。扱っている対象はかなり広い、というか有名どころはほぼ全て押さえている印象です。


■巻頭「にるそん考2、アイドル戦国時代の俯瞰的な分析」
ももいろクローバーZ東京女子流スマイレージ、、Berryz工房℃-uteさくら学院(BABYMETAL)のそれぞれのユニットについて①音楽、②戦略の特徴、③ストーリーの項目についてまとめられていて、ものすごい情報量。各ユニットの成長軌跡を表す主要イベントから、作家陣の解説に至るまで。頭がパンクしそうです。

本稿の結びでは、2000年にモーニング娘日本ゴールドディスク大賞を取り、2005年にはAKB48が劇場公演を開始、2010年には東京女子流ももクロなどの新興アイド勢力が頭角を現したことから、現代アイドルシーンは5年の周期で大きな変動を起こしているとし、2014年を「アイドル戦国時代における新たな激動の前兆」の年としている。そして2015年にはアイドルファンはどのような激動を見ることになるのだろうかと締めくくっている。個人的には2015年、アイドル界を席巻するのは国民的地下アイドルを標榜する仮面女子ではないかと踏んでいるのだがいかがでしょうか。少なくとも現時点でのアイドルシーンをものすごく丁寧にまとめている分析だと思いました。数年後に参照される時に貴重な資料となると思います。


■「めんどくさい夏菜子ちゃん推し座談会」
座談会自体が楽しい雰囲気が伝わってきます。羨ましいです。本文にもあるように、息抜き的に読めるコーナーです。個人的にもももクロで推しメンを挙げるとしたら百田夏菜子ちゃんですので。僕もかつて本気で「床爪さくらちゃん推し座談会」をやろうと思っていた時期がありました(まだ完全に諦めたわけではありません)。まさに未だに僕にとって達成されていない夢です。


平成ノブシコブシ徳井健太さんの文章は、詩的でとっても美しい。
南キャン山ちゃんの良い人すぎるエピソード。およそアイドルに正しい愛情を持っている人なら、山ちゃんがアイドルに対して真摯に向き合っていることはわかると思いますが、それでも誤解されたり安易にいじられたりする山ちゃん。その山ちゃんの真摯さを強調するエピソードは泣かせます。
またこんな記述もある。「売れても売れる直前でも、きっと売れていない頃だって、彼女達ももいろクローバーZは変わりません。そこが、僕ら芸人や芸能人と呼ばれる人達がももいろクローバーZにハマる理由です。本当に聞いたことが無いんです、悪い噂や黒い噂を。」芸能界の第一線で活躍している徳井氏の言葉だけにその発言には重みがあると思いました。美しい。


■「目指す側」から「目指される側」へ【ももクロと地下アイドル/ご当地アイドル】
ばするた氏の論考。
ここで第1章「地下アイドル」として取り上げられているのが、他でもないアリスプロジェクト。僕はこれを見たとき「してやられた」と思った。そう、同人誌という形態で、アリスプロジェクトを取り上げる文章を初めて見たからだ。
こちらはアリスプロジェクトについての基礎知識を丁寧に解説していて、入門書としても最適だと思う。僕も勉強させてもらった。アリスプロジェクトももクロとの接点といえば、プロデューサーのせいじ氏が「アリスプロジェクトを始動させたきっかけはももクロのパフォーマンス(とヲタの熱量)を見たこと」だとインタビューで語っている点だ。僕もそのインタビューを読んでいたがすっかり忘れていて、そういえばその接点があったか!と膝を打った。笑。
「(その勢いは)いつももクロに肉薄してもおかしくない」という記述に僕はとても勇気づけられた。ばるすた氏と同じく、これまでの日本アイドルシーンにさらなる刺激を与えてくれる存在であるのは間違いないと思う。僕が今度アリスプロジェクトに関する同人誌を作ろうというきっかけにもなった文章なので、是非皆さんにも読んで欲しいです。
第2章の「ご当地アイドル」の項では3組の地方アイドルについて紹介されている。ここでは、地方アイドルがそれぞれの地域に笑顔とエネルギーを与えているということを改めて教えてくれる。


■2&(ダブルアンド)Sakiさんのインタビュー
2&さんはライブパフォーマンスを確か3回くらい実際に見たことがあるのですが、小さな身体でものすごいパワフルなパフォーマンスをするなあという印象でした。エンタテイメントとして相当レベル高いと思います。個人的にはやはりグループアイドルが好きなので、積極的に追いかけるということはなかったわけですけれども。

現役のライブアイドルへのインタビューはものすごく興味を惹かれます。こちらも僕が個人的に推しメンに対してやってみたいことの一つ(今だったら黒瀬サラちゃんかなあ)。本インタビューでは「今のライブアイドルハロプロももクロ、AKBってゆう順番で好きな人が多いんじゃないか」ってのが面白かったですね。AKBに憧れるってそんなにいないんだ、、、そうだよね泣。あとアイドルに対して、楽屋で会っちゃうと憧れという感じで見れなくなっちゃうというのもなんとなくわかる気がしますね。やはりなかなか会えないからこそ憧れなのであって。もちろんより大きな舞台で共演となればまた話は違ってくるのでしょうが(例えば「ゆび祭り」みたいな)。

途中からプロデューサーであるところの長谷川氏を巻き込んでのアイドル論へ。現在、アイドルが流行っていることを全肯定してインタビューは締めくくられている。自分は曲調もロックぽいのでアイドルという枠には入っていないのかなと思いつつ、それでもそういうのもひっくるめてアイドルなのだろうかと自問しているSakiさんが印象的でした。アイドルとは何なのかということを考えるきっかけを与えてくれるインタビューだと思います。僕も個人的に一度改めて考えてみたいなあと思うテーマです。



■「劣化した社会にこそ魂が宿る〜ももいろクローバーZの可能性と不可逆性」さかもと

こちらも分量が多くて全ては読めていないのだが、アイドルヲタのあるべき姿はみたいなところを興味深く読めた。「山頂ではなく高原を開拓すべき」という部分である。僕自身、山頂を目指すことはとっくの昔に目指すのをやめているが(なぜなら、必ず上には上がいるからである)、ここ数年特に感じることは、高原なんてものがあるのかということである。どうも「皆で仲良く」ということができない。ヲタは原理的にはソロヲタにならざるを得ないんじゃないかと最近考えているからだ。
また「ももクロにはガチ恋が成立しない」とある。これはつまり「地下アイドルではない」と言っているのに等しくて、全くその通りであるのだが、やっぱり僕は地下アイドルが好きだなあと、改めて思った。ガチ恋は危険なものだけど、やっぱりないと高まれないという、必要悪みたいなものではないかと思っている。今考えるべきは、いかによりよい形に「ガチ恋」を昇華していくのか、ということ。その方法論の片鱗みたいなものが今頭の中にあるのだが、上手く言語化できていない、そんな感じ。

本文からだいぶそれた話になってしまったが、そのような意味でいろいろ考えさせられる論考でした。



そんなわけで、拾い読みみたいな形になってしまいましたが、これで書評を終わります。
「推す」ってのは、グッズをコンプリートすることよりも、自分だけの方法で何かを創造することだと思います。同人誌をつくるって、その最たるものじゃないでしょうか。アイドル評論クラスタとして、是非お互いに精進していきたいです。
皆さんも、ぜひ「アイドル感染拡大」を取り寄せよう!