ちろうのレイブル日記

本当によい教育を考えるためのブログです

映画『夢みる校長先生』と柴山翔太先生の講演を聞いてきました

2024年1月28日(日)、高山市民文化会館でドキュメンタリ映画『夢みる校長先生』上映会と、福岡女子商業高校校長の柴山翔太先生の講演会を聞いてきました。


映画はオオタヴィンという監督の作品で、他にも『夢みる学校』といって「きのくに子どもの村学園」にスポットを当てたドキュメンタリ映画。がある。こちらも以前、高山で上映会があった時に視聴済み。
宿題がない、テストがない、「先生」がいない。プロジェクトとよばれる体験学習の授業を通じて、自分たちでプロジェクトを運営し自らの頭で考える。
ヨーロッパとか日本の山奥とかによくあるタイプの自由な学校。あるいは「窓際のトットちゃん」におけるトモエ学園か。

 

本作『夢みる校長先生』はそのスピンオフ作品として位置づけられている。
とくに舞台が公立小学校だということの意味は大きい。
テストをなくす、宿題をなくす、校則をなくす(子供に決めさせる)、というのは工藤勇一先生以降のトレンドだが、通知表をなくす(学校教育法の絶対ルールではない)という先生もいた。
登場する校長先生は6人くらいいたが、その中でも「校長先生は大統領みたいなもの」というセリフが印象的だった。学校の運営を任させる最高責任者は校長。であれば、ほとんどのルール作りは校長先生に一任されているわけだ。前例踏襲主義・事なかれ主義を打ち破る勇気があれば。

 

周りの先生とのネゴシエーション、後任の校長への負担。そういったものが必要だが、現行のガチガチに固められた教育現場に風穴を開けようとする(公立)校長先生たちの取り組みは、純粋に良いものだなと思った。
「校長先生が機嫌が悪いのは犯罪」という先生もいて面白かった。
僕のここ3年の経験でも、小学校の校長先生ってめっちゃおだやかでニコニコしている人が多い。人間的にそういう人でないと校長先生になれないのだろうと思う。

夢みる校長先生

僕も比較にもならんくらい小さい規模だけど、稲垣教育研究所の塾長として考えるものがあった。
厳しく何かを強制しても、気持ちをピリピリさせてもしょうがない。
むしろ「塾なのにこんなことまで許されるんや」と思われることを意識しているつもり。
お菓子あげたりお茶をあげたり。授業中に急に思い立ったらスマホで調べ物とかしているしね。小学生では知育パズルやクロスワードパズル、ナンクロをやったりしてる。

 

宿題についでも近年は不要派の意見も散見され、こんな言われ方をします。
曰く「出来る子にとっては出来る内容を繰り返しているだけ。出来ない子にとっては出来ないまま。よって意味がない」
なるほど僕も、学校の授業内できちんと理解してしまえば、家での宿題は不要派。
とはいえ単純な計算練習や漢字を覚える作業は必要かもしれない。だから1日1~2ページの自主勉を課すのはアリなんじゃないかと思う。機械的に計算なり漢字なりやっていれば良いだろ。まあ勉強苦手な層にはそれが難しいんだけどね。


学校で小学生の低学年とかを見ていると「やればいいだろ」で済まされないんだろうなという気持ちがしなくもない。
「左に書いてあることを右に書き写す」「マス目にきちんと収まるちょうどよいサイズの文字を書き続ける」ということが、僕にとっての(たとえば)高校物理とか日本史の内容を覚えて再現しろと言っているような難易度なのかもしれない。だとするならば「簡単なことだからやれ」とは言えない。無理なもんは無理なのだから。

 

僕の場合、筆算の計算がゲームみたいに面白くて、親父のパソコンをつかって筆算をやっていた記憶があるけどね。作業になってしまったら意味がない。クロスワードパズルやナンクロでも遊びながら言葉を覚えた。だから塾でもたまにパズルをやっている。

 

この映画の上映が15:30~17:00
間の1時間に近くのマックに駆けこんで精神統一してから・・柴山翔太先生のお話!


18:00~
福岡県の那珂川市というとことにある、市の唯一の高校「福岡女子商業高校」の校長、柴山翔太先生の講演会がありました。
惹句は「史上最年少の校長先生」。30歳で校長に就任したというから驚きだ。
国公立大学進学0人から初年度で20人、次々と改革。それで本を出したりこうして講演会に出向いたりしている。


んで現在何歳かと思ったら33歳・・まだ校長になって3年目やないか・・・自分との年齢差に愕然とした。
話を聞けば聞くほどに、この初めて校長就任した高校の改革中で、本人もこのあとどうなるかが見えないというリアルタイム性が伺えた。

 

30歳で校長就任。これって公立高校だったらあり得ないことです。
それもそのはず、そうなったいきさつも納得することばかり。

大学卒業後、北海道の私立高校で教員になる。
そこで民間出身の荒井優校長から挑戦することの大切さを説かれる。
今度は兵庫県の小論文指導で有名な学校に飛び込み、国公立大学に送り込む手法を確立する。

これを実践する新たな環境を探す中で見つけたのが、店員割れが続き、経営的に苦しんでいる那珂川市唯一の高校である福岡女子商業高校。いつ廃校になってもおかしくない状況だからこそ、「1年目から好きなようにやっていい」と言われたのも決め手だったとか。
それでここに赴任したのが2020年の春ということだから、コロナ禍真っ盛りじゃないですか。

講師として赴任した1年目に小論文の課外授業に取り組み、20人が国公立大に合格。「創立以来の快挙」と周囲を驚かせたそう。


tiktocで高校をアピールしたり、生徒会主導で制服を刷新したり、ミュージシャンを呼んで音楽フェスを開催したり、全く新しい取り組みをドンドン進めている。そしてなぜそんなことをやるのかと問われれば「商業高校だから」で説明が済むのらしい。むしろ商業って、実生活に即していて、社会に出ることそのものですからね。うまく利用しているなアと思った。
聞けば聞くほど商業高校っていいな、女子高って良いな(男子校でもいい)と思えてくる。
むしろ良く言われることだが、とりあえず大学に行くことや、普通科高校って明確な進路が持てていない人が選ぶ選択肢だからね。

柴山翔太先生の講演会

というわけで、小論文指導に特化して国公立高校を狙うっていう方法にいたく感銘を受けてしまった。
僕も自分でできる範囲でやってみたい気持ちが出てきた。

 

稲垣教育研究所、動きます。