ちろうのレイブル日記

本当によい教育を考えるためのブログです

現在のAKB48はバブルそのものだろう

ブレイクマックスの3月号を読んでいて、ロマン優光氏のコラムを読んで思うところがあったので。
そのタイトルは、「アイドルにとって「売れる」ことは絶対に必要なことなのか」というものでした。

氏によると、AKB48以降、多くの後発グループがAKB48と同じ戦略を取っており、ライブを乱発し接触商法を駆使してオリコンの上位に入り、その順位を売りにして地上波の番組に出て知名度を上げ、その知名度をもとにスポンサーにプレゼン、CMを取ってくるという流れにあるという。しかしその流れについて、このように苦言を呈する。


重要なのは、地上波のテレビ番組でたびたび見かけるようになった時点では、所属レーベルをのぞけば運営サイドは別に儲かっていないということだ。その時点では、それまでにかかった経費のほうが売り上げをまだ上回っている。会場にかかる諸経費、売れることによって関わる人間が増えていくことによってかかる諸経費を回収して儲けを出すためにはCM出演をゲットしてスポンサーから多額の出演料を獲得するしかないのだ。テレビというメディアを活用する限りは。


テレビというメディアを使って成功しているのはAKB48以外にはないだろうとぼくも思うし、それを目指してしのぎを削るのも無謀なことだろうと思う。


AKB48は「会いに行けるアイドル」を堅持せんがために、シングルが出るたびに「全国握手会」と「個別握手会」を開催し続けてきた。そして今後もしていくだろう。CDを購入した「おまけ」として参加できる握手会であるから、単純にこれはファンからしたらサービスである。握手する権利に対して事務所側はお金を取っていない(もちろんCDをたくさん買わせることがAKB商法と揶揄されるのだが)。それなのに、あくまでもその「おまけ」に対して、東京ビッグサイト幕張メッセを使って握手会を開くと言うのは並大抵のことではない。それに関わるスタッフの人件費もバカにならない。こんなことは莫大なCM出演料が得られるAKB48でなければできるはずがない。


それなのにまだ拡大し続けようと言うのだ。姉妹グループSKE48に始まり、NMB48、去年の10月にはHKT48が発足した。さらには日本だけでは飽き足らず、ジャカルタ台北と勢力を拡大している。握手会のことに限って言えば、AKB48の握手会には基本的に全てのグループが駆り出される。つまり握手会場に立つメンバーはどんどん増え続ける。会場をこれ以上広くすると言うのは実質的に不可能であるから(何しろ全国握手会ですらさいたまスーパーアリーナナゴヤドームでやっているのだから)、回数を増やすしかない。それと比例して、人件費などのコストも増えていく。


拡大し続けることでしか存続できない。これはバブルそのものではないか。バブルとは投機によって高騰した資産価格が支える経済で、実態経済とはかけ離れた相場や景気のこと、だそうです。なんでも、ぼくはよく知らないけど土地の値段が上がり続けると信じて疑わず、皆が土地を買い漁った時代があったそうだ。また、軌道に乗り始めた企業が事務所をグレードアップし、店舗を拡大し、多額の広告費を投じ、人を雇い続けなければ会社を維持できなかった(そして倒産した)、そういう話を「ナニワ金融道」で読んだ。そして、各地方に新グループを立ち上げ、研究生を集め続け、握手会の回数を増やし続けているAKB48。全く一緒ではないでしょうか。


AKB48は全国握手会にしても個別握手会にしても、行ったことがある人は分かると思いますが、そろそろ限界が来ていると思います。握手券を入手する時点で複雑なのに、さらに転売防止の為にチェックがやたらと厳しい。会場までの道はあまりに人が多すぎるために導線をかなり遠回りさせていて不便、膨大な数のスタッフが必要、休憩スペースもろくになく、ファンのマナーは最悪。さらにはメンバーの負担も気にかかる。1日8時間の握手というものは経験したことないけどどれほどの精神的・肉体的疲労があるのだろうか。これが2日連続とか。体調を崩す者が続出し、2か月も前にCDを買って何時間もかけて会場に行ってお目当ての子がいないって何それ?みたいな。


もう誰得?っていうレヴェル。せいぜい、初めてAKB48のメンバーに生で会える!みたいな一見さんの為でしかないような気がする。初めてAKB48の握手会に参加した人は、お目当てのメンバーに会えて満足、だけどあれだけの労力をかけて握手会に出向くのは、もう良いかな。。。みたいなのが容易に想像できる。そもそもAKB48はすでに日本国民全員に知れ渡ってしまった。ももいろクローバーZを知らない日本国民はいるだろうけど、AKB48を知らない人はいないだろう。それなのに、まだファンの新しいパイが増えると言うのは考えにくい。それなのに相も変わらずグループは拡大し続けているのである。


これがバブルそのものだろうということの理由である。バブルは必ず崩壊する。崩壊するからバブルなのである。現に今年3月にはお姉さんグループとして活動していたSDN48が解散する。それは揺り戻しか来ていることの予兆ではないのだろうか。


だから何だ、と言われそうである。そんなことは分かっている、と言われそうである。そもそも「AKB?あと1年で無くなるよ」なんてのはもうここ6年ほどずっと言われている。何を今さら、という感じだ。ぼくが言いたいのは、今の時代、こんな時代だからこそ、AKB48のようなものを目指しちゃダメだ!ということです。ロマン優光氏の「本当に皆が売れることは絶対に必要か?」という問いは、ほとんど「そうじゃない!」という意思表明と一緒だろうと思う。これをぼくなりにもっとさらに言うと、「AKB48のような売れ方をしなければならないというのは違う」ということだ。



ロマン優光氏はライブアイドルの理想的なカタチとして、Chu!☆Lipsを挙げていた。2011年12月に行われたラストライブは幸福感に満ち溢れたものだったということらしい。ぼくはほとんどそのグループを見たことがないから何とも言えない。しかしぼくが考える、今の時代に最もマッチした、おそらく最も理想的なやり方を展開しているアイドルグループがいるので紹介したいと思う。


それが AKBN 0 なのである!



もう名前からして振り切れている。一見AKBと被っているようにも感じるが、発祥の地が赤羽なのだからしょうがない。赤羽の頭文字をとればAKBNだ。

その実態は、自ら「超低予算アイドル集団」と名乗り、HPのトップには

資金ゼロ、所属アイドルゼロ、稽古場なし、衣装なし、もちろん専用劇場なんてなし。
すべてゼロから真剣に紅白出場を目指します!
なんとなくアカ抜けない赤羽から、超庶民派アイドルが羽ばたきます。


こんなに潔いアイドルグループは見たことがないし、シャレも効いている。AKBN 0の魅力については改めてエントリを書きたいと思うのだが、とにかく特筆すべきなのは「金がない(だから金をかけられない)」と公言しているところだ。グループを運営するための資金は、ファン(クライアント)に払っていただかなければならない。それはデート券だったり、トーク券だったり、2ショット写真券だったり、私物をヤフオクで売ったりということなのだが、とにかく潔い。そして広告費にすらお金をかけないのだ。


一番ぼくが唸らされたのが、このブログのエントリである。

それは★情報提供のお願い★というタイトルだった。


「ウチは、これまでのように無料でのテレビ、ラジオ、雑誌出演を目指します。」と言い切り、挙句の果てにはファンに情報提供を求める始末。。。これこそファンと共に作り上げるアイドルグループではありませんか!


ぼくはこのグループがお気に入りで、良くライブ会場に足を運んでいるのですが、ファンもスタッフもアイドルも、皆が試行錯誤しながら楽しんでいる感じがうかがえます。恐らく最も理想的なカタチではないかと思います。お金があるところだけが成功するのではない、そんなことを教えてくれている気がします。



そんなわけで、AKBN 0、お勧めです。