ちろうのレイブル日記

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よしりんが指原的なものを予言し、恐れていた件について

HKT48のシングル「メロンジュース」の特典映像にて、よしりん先生と指原が対談している映像がある。この中でよしりんが「指原を見ていると、自分で描いたマンガの「最終フェイス」を思い出す」とか言っているのだ。

これはもう24年も前に描かれた漫画なのだが、僕はこれを元々知りませんでした。それで、なぜ知ったかという話なんですけど、まず「AKB48白熱論争」の中で中森明夫氏が言及しているのですね(「AKB48白熱論争」114p)。そこでは岡崎京子の「ヘルタースケルター」は影響を受けている作品があって、それがよしりんが描いた「最終フェイス」なんだっていう程度の話なんだけど、これが出た後のニコ生の「ニコ生わしズム×PLANETS 「AKB48白熱論争」」の中で、改めて中森明夫氏が紹介していた。

そこではAKB卒業後のあっちゃんについて触れられていて、あっちゃんが主演した「苦役列車」と沢尻エリカが主演した「ヘルタースケルター」が同日に公開されていて「苦役列車」は惨敗していた。だけど「ヘルタースケルター」は「最終フェイス」に影響を受けている。「ヘルター〜」は整形するが「最終フェイス」は整形しないで、主人公のかれんが価値観を押し付けてくる。これこそが、さんざん不細工だと叩かれていたあっちゃんでありAKB48なのだ。だから今こそあっちゃんが「最終フェイス」を主演でやればいい、みたいな話だった。

「ニコ生わしズム×PLANETS 「AKB48白熱論争」」(↑1時間17分〜を参照)

とにかくそんな感じで、中森明夫氏が「これは傑作ですよ!」と大絶賛してしたので興味を持って読んだのだ。

最終フェイス (徳間コミック文庫)

最終フェイス (徳間コミック文庫)

この漫画をネタバレ含めてあらすじを説明すると、超絶ブサイクの女の子(かれん・おぼっちゃまくん的な風貌)が主人公で、元々有名女優で美人の母親から「これこそが未来の絶対的な美、最終フェイスだ」と言われ続けていてそう信じ込んでいるというお話なのですね。んでまた登場するキャラがバラエティに富んでいて、超絶イケメンの同級生の男の子が振り回されたり(お約束)、父親はかれんに似てちんちくりんのブサイクなんだけど、かれんのこともブサイクだと思ってて煙たがってる。まあかれんは母親ではなく父親の遺伝子をそのまま受け継いでしまっているというわけですね。

自分のことを完璧な美人だと思い込んでいるかれん。それで母親の力もあってCMのオーディションを受けたりするんだけどやっぱりブサイクだからさんざんいじめられるんだけど、ドタバタして結局一番目立っちゃうみたいなシーンがあったり。そんな風に露出をしているうちに、実は日本全国にかれんのファンがいるらしいということが分かってくる。全国のブサイクの憧れの存在になってしまっていたのだ。そのかれんのファンの中にまた超ド級のブサイクがいて(ごんざれすちみみ)、その子とユニットを組んで歌手デビューすることになる。

そうしたらそのユニットがたちまち人気になって行くんだけど、相方の方が人気があるらしいことが分かってきて、嫉妬したりいじめたりケンカしたり仲直りしたりする。そんなバタバタがありつつ、ついに2人揃ってドラマに出演することになる。そこではいわゆる美人女優がいるわけだけど、整形しまくってる美人なのですね。世の中のアイドルとかモデルと言われる人たちは皆整形をしているということが分かってくる。そこでその美人女優は屋根から転げ落ちてそれで整形が崩れてしまって見るも無残な姿になる。んでドラマの中では使い物にならなくなり、結局かれんとちみみの2人が大活躍する。その整形していた女優はさらなる完璧な整形を目指して高飛びしていく。

んでラストシーンへ。その同級生の男は、最初はかれんのことを煙たがっていたんだけど、いつしかかれんが貶されるのを聞くと何故か怒りがこみ上げてくることに気づくのだ。世の中のアイドルとかモデルとかの美人と言われている人は全部整形で作れる顔ばかりじゃないか。そして個性的な顔こそが最も尊いのだ!そう、かれんは本当に「最終フェイス」だったのだ!というオチで終わるwwwwww




これを読んでると、よしりん先生が「指原を見ていると最終フェイスを思い出す」というのも分かる気がする。というより、これは指原自身のことを描いているようにしか見えない。こんな内容の漫画を20年以上も前に描いていたというのが驚きだ。

確かに、かつては「大して可愛くないのに・・・」と散々叩かれていたのはあっちゃんだった。そういう文脈で中森明夫氏もこの作品を紹介している。だけど今となっては完全にこれ指原のことじゃないだろうかと思えてならない。何を言われてもへこたれないキャラとか、ずうずうしいところとか、まさにそっくりだし、何しろ他でもないよしりん自身がそう言っているのだから。

これは価値観とは何なのかを考えさせられる漫画だ。美人だとか、可愛いとか、そんなのは表面的な薄っぺらい魅力で(それこそ整形でいくらでも作れる)、もっと本質的な価値は何かとかを問いかけている。もちろんこれはギャグマンガだからそれを極端に描いているし、かれんと指原が全く同じだというわけではない。かれんは本当にブサイクだけど、指原はどう贔屓目に見たって可愛い(笑)。まあそれはいいとして、それでも指原が「ブサイク」だとか「下品」だとかさんざん叩かれているのに、結果的に世間の注目を一番浴びてしまい、メディア露出が一番大きくなってしまっているのが、「最終フェイス」で描かれているかれんの状況にそっくりだ。

これは、よしりんが「本質的な価値とは何か」をマンガを通して訴えているのであり、だからこのマンガに出てくる、かれんに付きまとわれてしまう超絶イケメンの男はよしりんそのものだ。よしりんはこの超絶イケメンの同級生キャラを通して、表面的な価値観とか糞くらえだと言っている。かれん的なもの、すなわち指原的なものが勝つのだと予言している。

でも一方で怖くもあるのだ。よしりんはやっぱり超絶アイドルしているまゆゆとかみおりんとか、最近だとはるっぴだとかが好きで、そういう子が一番人気であることを望んでいる。アイドルとはやっぱりそういうものであるべきだと思っている。だから指原が怖かった。それで指原の博多移籍が決まった頃からアンチ指原を演じるようになった。もちろん本当に嫌いだったわけではない。このまま行くと指原がどんどん勢力を拡大し、デビュー間もないHKT48も指原に染められていってしまう。それはよしりんの好きなアイドル像とはかけ離れていってしまう。かれん的なもの=指原的なものこそが最強だと思っているよしりんではあるが、だからこそ「AKB(HKT)ヲタの皆はそれでいいのか!?」と世の中に問いかけていたように見える。

もちろん僕が前エントリに書いたように、アンチ活動をすること、ましてやよしりんほどの影響力がある人がアンチ活動をすることは、指原勢力にとって大きな燃料になることはよしりんにも分かっている。それでも世の中に問いかけた。「おい、おまいら。本当に指原が天下を取ってしまってもいいのか!?」と。

よしりんのそんな危惧もむなしく、指原の勢いは凄まじかった。そして望んでか望まずにかわからないけど、指原と2回も対談する羽目になった(「意気地なしマスカレード特典映像」と「メロンジュース特典映像」)。いずれも短い対談だったけど、2回目の対談を終えた時に、一切の指原アンチ活動をやめることを表明した。完敗したらしい。確かに「メロンジュース」の時の対談を見ていると、ただのAKBヲタのおっさんが20歳の女にいいようにあしらわれているだけに見える。もうどんなネガティブキャンペーンも効かないとあきらめてしまった。

よしりん先生は本当に頭が良い人だと思う。そんなのは僕に言われるまでもなく(過去の実績から見ても)当たり前のことなんだけど。指原の勢いを誰よりも早く感じ取っていたからこそあんなに一生懸命アンチ活動をしていたのだ。20年数前のよしりん先生自身もまさかこの時代にAKB48というアイドルにハマるとは思わなかっただろうけど、今になって自分自身がマンガの中に生み出したキャラに逆襲されることになるとはね。